のりさんのブログ

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●要約:O.パーマ.ロバートソン「契約があらわすキリスト」(ヨベル社、2018年)①

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第三部 あがないの契約

序) 創造の契約のもとでひとが罪を犯したのち、直ちにたてられた。
①神は創造の秩序を特別に構成することでひとと結びついたが、ひとは禁じられた木の実を食べて、この関係を壊したため、そこに裁きがくだされる。
②しかし、罪に対する裁きの中にある回復の希望。創造主のめぐみ深いご性質によって、ご自身の民として贖うと誓う。
a.神は創造の契約の中で破棄された祝福を、あがないの契約によりひとのために実現しようとしている。
b.ふたつの契約が重なって与えられていることは、ひとが創造のときに与えられた本来の責任を負って、引き続き働くべく定められていることからもわかる。
⇒アダムに与えられた試練の期間は終わっているが、ひとは被造物全体を創造主のために聖なるものとする責任を負う。
③神の誓いが、この時点以降の歴史の意義を決定づけていく。歴史が進むにつれて、あがないの契約の意味が次第にあきらかにされ、「時が満ちて」イエス・キリストがあらわれ、最終的に完成へいたる。

第六章 アダム―はじまりの契約
◎あがないの契約の文言が創世記3章14~19節に記されている。
サタン(蛇)、女、ひと⇒のろいと祝福がないまぜとなっている。

1.サタンへのことば(創世記3:14~15)
①蛇に向けられている(14節)
ひとと蛇との生まれつきの敵対関係を説明する。ひとのあがないの歴史は、ひとと被造世界すべてを巻き込み、ひとの世界のみならず、動物界にも罪の堕落の影響は及ぶ。あらゆる被造物の中でも、蛇は卑しめられ、這うものとされる。サタンの手先として、究極的に敗北するものであることを象徴的にあらわしている。(エペソ6:12)
②サタンに向けられている(15節)
 敵意が置かれることについては、神は主権的に介入して、神ご自身が、両者の戦いが続くようにしていることに注意。神はサタンと人類のあいだの葛藤を確約(対立を保証)。

●「敵意」が置かれた。
A.サタンと女との間に
a.なぜ、サタンと敵対するものとして、ことさらに女を取り上げるのか。
・女が最初に誘惑されたから。
・ひとのうぬぼれで女を悪く言うことを妨げるため。
・女には、最後にサタンの力からひとを解放する子どもを生む役割があるから。
b.神の言う「女」とはだれか。
エバのこと。
・女性全体⇒宇宙的葛藤において非常に重要な立場にあるという原則を明らかにしている。

B.サタンの子孫と女の子孫との間に
a.女の子孫とはだれか。
・人類全体
・神が主権的に、女から生まれた子孫たち。
⇒めぐみによって神は、女の特定の子孫たちのこころのうちにサタンへの敵意を置く。
⇒サタンの手先
:神とその目的に敵対している人類のうちの「サタンの子孫」の存在。
b.ふたつの「子孫」のあいだの葛藤
・「女の子孫」と「サタンの子孫」は時代を超えて互いに格闘する。

 


C.「彼」とサタンとの間に
a.「彼」とはだれか
・女の子孫全体:「彼」は複数の人物を指している。
・最後の場面では「子孫」対「子孫」という葛藤の中で、それぞれの民の王として「サタン」、「ひとりの代表的英雄」と特定化される。
⇒子孫同士が、たがいに「かかとを打ち」「頭を砕く」という目的をもって攻撃しあう。
⇒女の子孫は地に来て十字架においてサタンに傷つけられ苦しむが勝利する。
※人類のうちにはサタンの子孫が存在して、神のあらゆる義の目的に敵対するので、神の正当なる裁きがくだされる。⇒聖絶の理解に適用できる。サタン(の子孫)に対する祝福はひとことも与えられていないが、女の子孫に対する祝福が含まれている。(ローマ9:22~23)

2.女へのことば(創世記3:16)
●のろいと祝福が、ともに含まれている。
①祝福:神のあがないの計画における女の役割。
a.子どもが生まれること。
b.女の子孫は、サタンとの抗争に加わるために生まれてくること。
②のろい:妊娠、出産、子育て、夫婦関係
a.こどもを世界に生み出すための、様々な悲しみを経験すること。
b.夫との結婚関係⇒「あなたは夫を恋い慕うが、彼は、あなたを支配することになる」
                 ↓ 
「罪は戸口で待ちうけ『あなたを恋い慕うが、あなたはそれを治めなければならない』」(創世記4:7)          ↓
・過剰な依存ではなく、相手を支配しようという過剰な決意。
・擬人化された罪の「恋い慕う」思いが、カインを所有しようと向かっているように、女の「恋い慕う」思いは、夫の所有にむけられている。
⇒結婚における不均衡は、女性の生涯のうちに現われる。
⇒女が夫を所有しようとするなら、夫も女に対して過剰に抑圧的に臨む。

3.ひとへのことば(創世記3:17~19)
●のろいと祝福が、ともに含まれている。
①祝福:いのちをながらえるために糧が与えられる。
a.ひとをあがない取り戻すという神の計画が実現する。
b.一般恩恵の不変性。(マタイ5:45)
「天の父は、悪い人にも良い人にも太陽を上らせ、正しい人にも正しくない人にも雨を降らせてくださるからです。」
②のろい
a.食を得るためには激しい労働が伴う。
b.墓へとくだる。「土のちりに帰る」(19)
※アダムは地を従えるために造られたが地のちりがアダムを従えることになった。

結論
●堕落したひとと神とのあいだの結びつきの確認
①神の一般恩恵の領域において創造の契約が有効に働いている。
②はじまりの契約にある、あがないの歴史の予表とその計画の歴史に見る女の子孫とサタンの子孫の間の敵意の連綿性。
③契約のうちに神の目的が完成することが表されている。
         ↓
エデンの園に戻るのではない。
・ひとがすべてのものをしたがえるという状態は実現していないが、将来あきらかになる希望が確信とともに証印されている。(ヘブル2:8~9)