日本学術会議の任命について、もともと105名の推薦があったにも関わらず、慣例を破ってまでして、そのうちの6名を省いたことが話題となっている。
そのことについて任命権者である菅総理は、その理由を全く説明してこなかったのだが、このたび、ようやくその話が聞けるかなと思いきや、何とご自分が見た名簿には初めから99名しか名前がなかったという奇天烈な回答だった。
それは、つまり首相の周囲にいる官僚たちが忖度して、予め菅さんが嫌う人たちを予想し省いたということだろうか。そうなれば、菅さんの意思で省いたのではないという話にはなるかも知れない。しかし、それは任命権者の責任として、それで良いのかという問題がある。
これまでは規則通り、学術会議の推薦に基づいて任命することが当たり前のところを、そこにあえてメスを入れるほどのことをするからには、それなりの責任が任命権者にはあると思う。しかし、それを自分は知らなかった。知る前に変更されていたとなれば、それは任命権者である菅さんに見せる前に勝手に忖度した人たちに対して、何らかの処分が必要になるのではないか。
しかし、もっと恐ろしいのは菅さんが自分で省いておいて官僚のせいにしていた場合だ。表向き、自分は知らなかったので、自分には大きな責任はない。だから官僚を処分して、今回の事案の幕引きを狙うとなれば、それは恐ろしい政権を私たちは支持していることになる。
いずれにしても、菅さんは、まだ説明責任を果たしてはいない。自分が知らないうちに名簿が変更されていたのであれば、もう一度、菅さんが検討して、その理由を自分のどのような考えで任命した、または省いたと述べなければ、主権者の一人である私は納得できない。